現場の負担だけを重くする愚策

「個人写真持ち出し禁止」

と昨日の産経新聞にありました。

東京都教育委員会がセキュリティー対策として管理の厳格化を
打ち出し、個人情報の持ち出しを原則禁止としています。

個人情報を含むメールの送信は原則禁止で、やむを得ず送る
場合は校長の許可を取りパスワードを設定するなどとあります。

個人情報の入ったUSBメモリーを校外に持ち出す場合は、
複数人で鍵付きのケースに収納するなど措置が必要で、校内
作業で個人情報をパソコンで扱っている途中で席を離れる場
合はUSBメモリーに一時保存して施錠できる保管庫にいれ
なさいといいます。

・・・個人情報過剰保護の暴走にいつ歯止めがかかるので
しょうか。

厳格化には理由があります。

個人写真も持ち出しを禁止されているのですが、これは
羽村市の元小学校教諭が交通事故死した子供をホームページで
公開していたあの事件を受けてですし、相次ぐ「紛失騒動」こ
とをうけてによります。

不必要に晒す必要はありませんし、悪質な利用に対しての
個人が抗う根拠となることも「個人情報保護法」の重要な
役割です。

しかし、

「一部の不心得者や粗忽者為に真っ当な教員が抑制される」

のなら本末転倒ではないでしょうか。

まずメールを見ていきます。

個人情報の線引きはどこでしょうか。
手軽な通信・連絡手段でその都度、校長の許可を取るという
ことによる「時間ロス」は誰が負担するのでしょうか。

そもそも校長の許可は口頭でよいのか書面なのか、内容も
自己申告なのか書面提出なのか。そしてそのメール及び書面の
保存義務は。

明文化するときはここまでやらなければ手探りの現場への
加重が強くなり結果、形骸するか萎縮するかのどちらかとな
ります。

次にUSBメモリーをみていきます。

まず、現在のUSBメモリーは大変小型で、100円ライター
位の大きさで、どんな大きさの「鍵付き箱」となるのでしょうか。
フリスクケースに入るメモリーに「鍵」をつけるのでしょうか。
それとも、ジュラルミンのケースにちんまりと100円ライター
位のUSBメモリーを鎮座させるのでしょうか。
これはコントです。

そして作業を中断してUSBメモリーに保存して鍵のかかる
保管庫にいれるのは・・・まぁ機密書類を扱うのならそれぐら
いはとも思いますが、そもそも学校って部外者があまりおらず
その環境で何をそこまで厳重にする必要があるのかと疑問にな
ります。

まして現実の職員室の教員の机には無造作に「個人情報」は
おかれていますしね。個人情報の定義次第ですが。裏を返して
いえば教職員間で児童・生徒の個人情報を共有していることに
よるメリットだってあるのですよ。

第一鍵のかかる保管庫を用意したとしてもその鍵を誰でも
扱えれば同じことです。

画餅どころか現場の負担だけを重くする愚策です。

個人情報を悪用したとき、粗忽さにより紛失したとき。

民間企業なら彼らに厳罰を処すことから始めるのでしょうが、
今度は「公務員の権利」とぶつかるのでこちらは手が出せない
のでこういったいびつな「施策」となります。

また、民間ならそれだけ守らなければならない「情報」を
扱うのであれば

「セキュリティールーム」

を用意して「入退室の管理」に取り組みますし、更に

「保存できないパソコン」

の導入に踏み切ったりします。保存できないとは、ネット
ワークで繋げており、保存は「親機」だけで行い、スタッフが
使う「子機」にはできないパソコンです。
(詳しくは「シンクライアント」で検索してみてください)

こういった「投資」もまた今度は「予算」の壁がありまた
難しく、結果的に

「現場に投げる無責任」

となります。

教員の質の低下もあるでしょう。

しかし、一方で教員の労力を無駄に浪費していることも
またあり、その一因に「個人情報保護法」がなっていると
いう本末転倒のお話しでした。

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