セブンイレブンの罠

 興味を持たれたなら、すぐにアマゾンで注文すれば、週末には
手元に届き、あるいは会社帰りに大型書店により探してください。

あるいはニヒルなジョークが好きな方は

「セブンアンドワイ」

で注文して、セブンイレブン店頭で受けとるというのもありです。

「セブンイレブンの罠」
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=4906605621

起業バカ、起業バカ2、起業のワナなどの著者 渡辺仁先生の
新著です。

内容にはいる前に、本書、出版の裏側について述べておきます。
それこそ「マスコミでは言えないこと」です。

ライフワーク的にセブンイレブンを取材されていた渡辺先生は
疑念にぶつかります。すると疑念はしだいに夏空を覆う入道雲
のようにむくむくと大きくなり、あるいは白色ワンピースについた、
カレーうどんの染みのように気になって仕方がありません。

これを直感と呼ぶのかも知れません。

取材を重ねるまでもなく、疑念が確信と変わり広く世に問うこ
とが「使命」となりました。そして取材をはじめると、使命に
焦りが加わります。声なき声が、もはや声を発することのない
泉下からの慟哭が、早く早くと迫るのです。

ここからです。
相手は「セブンイレブン」。
セブンイレブンにとって「いい気分」でない記事を載せる
ことは日本の大メディアでは希です。

それはセブンイレブンだけではなく、お客さんの悪口には

「自主規制」

がかかることは、私のような末端のモノでも何度も経験して
います。

つまりは引き受けてくれる出版社が見つからないのです。

渡辺仁先生の御著書のファンだったことから、ある機会に
名刺交換させていただき、以来、年賀状のやり取りを続けて
いる程度の私の所に電話がかかってきたのは・・・確か、
1年前だったと記憶しています。

焦燥感が電話越しに伝わります。

拙著「楽天市場がなくなる日」では、本論からそれるので
割愛しましたが、フランチャイズビジネスの問題点と楽天市場
は重なることが多く、その点を指摘すると渡辺先生はこう
指摘します。

「ビジネスとして契約した以上、手出しできないという
論理も理解している。
しかし、最大の問題は、必要且つ充分な情報提供が契約者
なされておらず、同時に情報公開がなされていないことだ」

激しく同意します。
しかし、いかんせん、非力な私にできることは限られており
それから約1年です。やはり「壁」は厚いのだと諦観してい
たおり、渡辺先生からの「ゆうメール」が届きました。

そこには「セブンイレブンの闇」があり、めくると

「謹呈 宮脇睦様 渡辺仁」

とあり、一通の手紙が添えられています。

行間から、この出版の難しさが滲みでており、また非力だった
私のことまでお気遣いいただいたことに感動しました。

仕事を棚上げして読破。

中身を書き写す野暮はしませんが、大なり小なり日本の
フランチャイズビジネスはセブンイレブンがベースとなって
いると言われています。そのベースがこれでは、その亜流が
阿漕なことをやるのは当然で、ある意味、そちらの方が
正しいDNAを受け継いでいるといえます。

ある飲食系のフランチャイズの話。

路面店への出店を要請され契約します。店舗費用など
割高に感じましたが、独自企画の店舗に、
開店から軌道に乗るまでの運営オペレーション込みの
料金だという説明に「そういうもんか」と応じます。

この店では広告が禁じられました。フランチャイズ
全体の統一イメージがあるという理由です。そして
オープンから数ヶ月間は「店舗コンサルタント」とい
う肩書きをもった「店長」が派遣されたのですが、
接客も怪しければ、アルバイト教育もできません。
しかも、この「店長」の給料はフランチャイズ側の
持ち出しです。

それでもここを踏ん張ればと・・・と、定期的に
開催される●本木ヒルズでのオーナー勉強会では励まされ
ます。このオーナーは他の事業も展開しており、そちら
の儲けをこちらに注ぎ込んで凌ぎます。

オープンから数ヶ月後。
店舗の隣にあったスペースに別の店が建ちます。
同じフランチャイズ本部が運営する別業態の飲食店です。

しかも本部直営です。オープンから毎週のようにチラシを
配布して、イベントを開催します。新メニューを逐次投入
し、入店を待つ客が溢れかえります。一方、となりは
閑古鳥が住み着いたままです。

結局、短期間で「撤退」を本部に申し出たところ、
建築費用にはほど遠い価格で本部が「買い取る」ことに
なりました。オーナーは買ってくれたことで赤字が
少しでも補填されたと本部に感謝します。

その後、本部は同店の看板も営業もそのままに、
隣の店と合同で広告展開し、繁盛店へとのし上げました。

フランチャイズ本部は各種名目で加盟店から金を
集めます。「経営指導料」などもそのひとつです。

直営でやって儲かるなら、そのノウハウを何故、
教えなかったのでしょうか?

こんな仮説が浮かびます。

1:出店による売り上げ予測がいい加減だった
2:ところが想像以上に良い数字がでた
3:じゃあ全部、直営にして儲けよう

フランチャイズがやって儲からなくても本部がやって
儲かるのは経営手腕ではなく「ロイヤリティー」です。

ロイヤリティーとは加盟店が本部に払う手数料で
それが経営を圧迫します。つまり、加盟店の金を使い
市場実験をして、儲かると分かれば苦しめて追い詰め、
店舗ごと巻き上げるという仕組みではないかという
仮説です。

実は、このオーナーが出店を検討した時に、
オーナーの片腕は反対しており、私も概要を聞いて
反対しました。「搾取の構造」で、蟹工船もびっくり
のシステムがフランチャイズだからです。

結局はオーナーの鶴の一声で始まり、あまりの
儲からなさに飽きたオーナーが放り投げて終わった
のです。幸いだったのが途中解約のペナルティが
納めた金(いや、これもエリートサラリーマンの年収
ほどですが)で済み、それぐらいなら痛くも痒くも
ない別収入があったことです。

セブンイレブンの闇。

読了後、この闇の底が透けて見えた時、飲食フランチャイズ
が善意の集団に思えたほどです。

また楽天市場の集金システムなど、語弊を怖れずに
いうなら中学生のカツアゲと、ヤクザのみかじめ料の
違いがあります。

巧妙で狡猾で冷血です。

本書より少しだけ紹介します。

・弁当値引き問題を政治力で潰そうとした疑い

・セブンイレブン開業時にオーナーの全資産、そこに
は土地やローン、はては家計に属する食費までを
本部に報告しなければならない

・セブンイレブンの「経営」をしながら、他のバイト
をしていたオーナーの自殺

・生活窮乏を訴えると廃棄弁当を食べろと指導

・赤字改善を相談すると「家計簿をみせろ」

・父親の手術日でもオーナー懇親会は絶対出席

・寝ずに働いても貯金が減り、貯金が無くなる借金が
増える。その借金相手はセブンイレブン

などなど、きりがありません。

その中でも特に普通の商売をしている私からみて
おかしなことは

「買い掛けに利息」

がかかること。商売をしていると日々の現金払いは
現実的でなく、ひと月単位でまとめて決済するのです
がこの時の「支払いが済んでいない商品」を債権とし
て利息を付けているというのです。

日本の商習慣ではあり得ないことです

さらに「店の売り上げ」はセブンイレブン本部が
毎日集金し、先ほどの商品代金やロイヤリティーなど
を差し引いた金額だけがオーナーの手に戻ってきます。

アルバイトの給料や家賃、光熱費などはこのかえっ
てきたお金から払い、オーナーの年収は夫婦二人で
500万円ほどですが、これで良い方。

200〜300万円もざらで、だから貯金が減り
借金が増え、ゴミ寸前の廃棄弁当を食べろと指導さ
れます。

詳しくは本書をひらいて欲しいのですが、この
廃棄弁当もセブンイレブンの「儲け」として計上
されています。

そしてもう一点だけ、紹介させていただくと、
セブンイレブン本部が「差し引く費用」の明細は
開示されません。

これはオーナーではありません。本書ではこれを

「オーナー偽装」

と指摘します。

最低賃金の枠外にいる奴隷的労働者というのが
本書を読んだ私の感想です。契約と借金で縛りつけ
選択肢を奪い人生を簒奪しているのですから。

まだまだ書き足りないのですが・・・あとは
本書にて。怒りがふつふつと湧いてきます。

「セブンイレブンの罠」
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=4906605621

そしてこれは氷山の一角。
渡辺仁先生との電話ではよりディープなネタも。
第2弾が今から楽しみです。

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