21世紀の平家

 民主党の評価を変えています。もしかしたら希代の演出家では
ないかと。夏の政権交代劇の興奮・熱狂から、場面を転換して
いまは「笑い」になり、すべてが紡がれたドラマだとしたら・・・。

とにかく、今、民主党が面白し。

笑わせてくれます。下手な芸人より笑わせてくれます。

「決定を先延ばしすることを決定しました」

これをひと言で述べれば

「先送り」

で、日本政治文化の古典芸です。いやはや、あの自民党政権時代
でもここまで明確に「先送り」を述べるには勇気を擁したものです
が、胸を張っていえる我らが首相に日本政治の「本流」を見る思い
で笑ってしまいます。

端的に述べれば「自民党っぽいなぁ」。もちろん、最悪の。

そしてこれは選挙前から繰り返し指摘していたことですが、

「国民の生活が一番」

というのは国政のすべきものではありません。地方議員の仕事で
あり、さらにいえば各家庭の「世帯主」の領分にも重なります。
警察は民事不介入ですが、政治が茶の間にあがりこむのは危険です。

国民の生活を一番とします。

はてさてそれではどの国民生活を以て政策を掲げるのでしょうか。
あるいは法律を策定するのでしょうか。

新潟県の豪雪地帯の国民生活。北海道の大規模農場。
夏でも窓を閉めなければ生活できない東京都心部。
そして沖縄県・・・といっても楽園のような離島もあれば、
ご存じ「基地」の隣接地もあります。

もっと細かい話しをします。
関東の人に「高知県でも雪が降る」というと驚かれますが、
私が育った中村市(現四万十市)ではふり「南国土佐」という
ステレオタイプとはかけ離れています。メガロポリス東京ですが
沖縄市からやってきた知人は足立区の住宅街に降り立った感想は

「沖縄より田舎さぁ」

でした。
さらに踏み込めば、公務員宿舎で生活するもの、先祖伝来の
屋敷で暮らすもの、明日をも知れぬ日給月給で働く世帯主の家庭、
ついでに母子家庭と父子家庭。おまけに親のいない家庭、いても
機能していない家庭もあります。すべて国民の生活です。

北から南まで、貧困層から富裕層までの諸問題を一気に解決する
政策を人類はまだ発見できていません。

つまり国民の生活と、十把一絡げに論じた時点で、不可能を宣言
しているのと同義で、自縄自縛なSMプレイです。このドタバタぶり
は吉本新喜劇に通じるものがあり、お年寄りから若者までがわかる
「笑い」でなかなかやるなぁと呟きます。

都道府県、各地方自治体レベルに細分化しても、すべての要求を
満たすことなどできないことを覚悟するのは古代ローマ時代から
為政者の最低条件です。

その最たる例が「普天間」。

「沖縄のことは沖縄の人に」

一見正論です。が、これで成り立つなら、政府などいりません。
無政府宣言ともいえる自縄自縛。つくづくSMがお好きなのだと
想像するに吹き出してしまうのです。

この「迷走」にもフジテレビの朝の情報番組「とくダネ!」で
は司会者の小倉智昭さんが必死にフォローしている姿が滑稽で
出演者に事欠かないのも民主党ショーの面白さです。

そして昨今、一番唸ったのが小沢一郎民主党幹事長。

いや、政権奪取後の民主党が何かに重なるとみていたのですが
11月中旬になり閃いたのがこれ。

「平家」

陳情ひとつとっても民主党への忠誠を値踏みし、選挙協力を
要請し・・・と、漏れ伝えられるということは、露骨にやっている
と考えるのが一般的な政治情報の読み解き方です・・・ている
様はまさにこう。

「民主党にあらずば人にあらず」

まぁ、とはいえ、これが地下に潜ったならば自民党と同じで
その「露骨さ」も、民主党政権の「オープン」な持ち味といえなく
もないということもやぶさかではないといえなくもありません。

事業仕分けもそう。あの蓮舫さんがいってましたよね。

「政権交代の意味をもっと考えて欲しい」

あれを一般の「大人語」で訳すと

「きぃきかさんかい我れぇ」

民主党の喜ぶように動いてこそ役人だということです。

そして民主党=平家の極めつけはこれ。

天皇陛下すら動かせると盲信している小沢一郎さん。

中国の習近平国家副主席の来日に際して、陛下との会見での
一連の「事件」です。

必死になって否定していますが前後関係を見れば明らかで、
さらに不遜にも陛下の心根まで代弁するに至っては不敬としか
表現のしようがありませんが、これは「平家物語」への

「オマージュ」

とすれば憎い演出です。諸行無常の響きが聞こえてきます。

そしてペーソスだけではなく、すかさずくだらない笑いを
用意するところも憎い演出です。今回の事件で前原さんが、

「自民党の元総理も動いていた」

と記者に「告げ口」するに至ってはこうつっこみました。

「野党か(イントネーションはタカアンドトシ、トシで)」

彼がチンコロ(上品じゃない業界での告げ口の表現)した
朝の産経新聞にはことの子細が掲載されており、自民党系も
中国側の必死な要請に動いたそうですが、30日ルールを
説明されると素直に従い、中国側に説明したとあります。

次から次へとトラブルが起こり、そのトラブルの種は自らが
まいており、芽がでた若葉のすべてが見事に花開く様はまるで
三谷幸喜のシチエーションコメディー。

熱狂と興奮の「政権交代劇」の次に「コメディー」をぶつ
けてくる当たりは見事です。そしてここまでの腕を持つ
劇作家が次に用意するのは「悲劇」です。

興奮させ、笑いの渦で緊張を解きほぐした直後の悲劇。

これほど涙を誘う演出はありません。

私としては血の涙でないことを祈るばかりです。

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