ソーシャルメディアと思考停止を読み解く背景考察

 週刊ポストのインタビュー記事を私なりに「再構成」したもので、

 

これは編集でも捏造でもありません(笑)。あえていうなら「蛇足」。

 

 記事を読んだ上でないと理解できないかも知れませんが、それは

 

週刊誌とネットの「コラボ」ということで・・・そうですね。

 

「出版と通信の融合(笑)」

 

 あるいは

 

「有料と無料の結合(笑)」

 

 です。

 

■ソーシャルメディアと思考停止を読み解く背景考察

 

1)対立構造で解読

 

 「対立構造」で情報を読み解く傾向が強くあり、黒か白か、有罪、

 

無罪といった善悪二元論で灰色も推定無罪もありません。

 

 対立構造で事実は単純化され理解は容易になりますが「思索」する

 

訓練から遠ざかり、読解力ではなく反射神経が判断を司り、これが

 

繰り返されることで「脊髄反射」のレベルに達し、思考する必然性が

 

なくなります。

 

 そして、これがネット世論がいまだに「世論」と乖離する一因です。

 

 実際の日本人は「ちゅうぐらい」が好きなのです。

 

2)匿名が普及させた日本ネット社会

 

 ネットは匿名。ということも日本のネット普及に一役買ったことを

 

忘れてはなりません。「個人」として脆弱・・・もとい、控えめな

 

日本人でも「誰か」になることで、イメージする「誰か(アバター)」

 

になることができるのです。リアルにおいては「課長」や「部長」も

 

そのひとつ。「役職」になりきろうとするのです。

 

 そして「村社会」が匿名を助けました。日本では「知らない人」、

 

異邦人がいるということにリアリティを感じません。だから匿名で

 

あっても「たぶん日本人」「なんとなく日本人」と漠然と考え、

 

例えが悪いのですがこの反証となるのが「2ちゃんねる」などで、

 

考えが違う人間を近隣外国人の侮蔑用語で呼ぶ背景です。

 

 その「匿名」が対立構造を加速させます。本来、黒か白かと

 

断ずることが苦手な日本人でも「匿名というアバター」が心理的

 

抵抗を減らすのです。

 

 一方、移民国家米国で「匿名」の発言を楽しむ人はいても、

 

信じる人は希です。匿名の誰かがアメリカ人どころか、米国と敵対

 

する国家の人間である可能性もあるからです。また、自説が優れて

 

いる信じての発言なら、「アメリカンドリーム」のまつ社会にて

 

匿名で語るデメリットは大きすぎます。

 

3)多数決を絶対視する性向

 

 多数決は民主主義の意思決定のひとつのプロセスに過ぎないの

 

ですが、学校教育(いまやその教育を受けた家庭でも同じ)の中で

 

「多数決」ですべてを決定しています。これがネット世論、

 

あるいは多様な言論があるはずの空間を「一色」に染めます。

 

 とくに確たる意見を持たないときに「多数派」に染まるのは

 

これまた「村社会」の生活の知恵でもあるのですが、多数決が

 

拍車をかけ

 

「日本人らしい意思決定プロセス」

 

 という思考停止を招いています。

 

3)アマチュア崇拝カルト

 

 ネットの世界の価値観に「アマチュア崇拝カルト」があります。

 

 突きつめて言えば「商業主義」のプロフェッショナルを向こう側に

 

置いた「対立構造」としてのアマチュアの優位性を礼賛するものです。

 

4)舶来信仰

 

 日本の舶来信仰は「IT業界」でも同じく、米国発のサービスを

 

疑いもせず礼賛します。特に「エバンジェリスト」達は、ミクシィや

 

ヤフージャパンをあまり評価せず、フェースブックやグーグルを

 

盲目的に持ち上げます。

 

 これは「単語」にもあらわれ、「エバンジェリスト」も福音派の

 

伝道師のことで、事実関係で翻訳すれば「啓蒙家」、あるいは「宣伝マン」

 

が正しいでしょう。「キャズム」も「閾値」や「一定数」「普及期」

 

などなど適切な日本語を使うのは私ぐらいです。あとは「レイヤー」。

 

「次元」「階層」「属性(これの英語はアトリビュートですが、

 

文脈から属性と解されるものでも「レイヤー」として表記されるのは

 

珍しくありません)」と、状況にピッタリな日本語をなぜか

 

使いません。

 

 私にはこの光景が「おフランス」と連呼したイヤミに見えて

 

微苦笑してしまいます。

 

5)エコシステム

 

 本来は生態系の意味ですが、特定業界でのビジネスの循環を

 

こう呼ぶトレンドがあり、IT業界はすぐに飛びついたのは

 

「舶来信仰」ゆえでしょう。

 

 ツイッターをはじめとする「声」があつまることでCGM

 

(消費者生成メディア)となり、社会的影響を与えることで

 

リアルビジネスに浸透し、さらなるツイートを呼び込み、循環し

 

エコシステムが完成する。

 

 上記は私が作った「ツイッターというエコシステム」という

 

解釈で、もちろん言葉を弄した詭弁です。

 

 しかし、IT業界を知る上で、この概念はとても重要で、

 

つまり一方的に捕食されるミジンコやゾウリムシを一般人の

 

ツイートとして、それらを集めてビジネスする連中の存在を

 

暗にほのめかしており、俯瞰してみればタチの悪い

 

ブラックユーモアです。

 

 エバンジェリスト達は、エコシステムの頂点におり、生態系

 

で言えば「捕食者」で、海洋生態系ならばシャチや鯨に位置し

 

ます。つまり、アジや鯖の群れが増えれば、彼らは得する仕組

 

みになっており、派手な啓蒙を続けるのは「養殖」といっても

 

過言ではありません。

 

 それが証拠に、ツイッターの啓蒙者達の名前に

 

「セミナー」「講演会」「ミーティング」

 

 などとつけ検索すると、彼らの「食事風景」に辿り着きます。

 

 もちろん書籍も彼らのお腹を満たします。

 

6)関心空間のなかの遊泳

 

 古代ローマの英雄カエサルは「欲する現実しか見えない」といっ

 

たとされますが、リアルでは嫌なもの、興味のないものでも視界に

 

入り、耳に届きますが、ネットは自分の興味ある世界で満たされ、

 

欲しないものに触れることはありません。

 

 そのため、嗜好や情報が偏り、しかしそれをおかしいと感じる

 

感覚は、知的好奇心が満たされる歓びがかき消します。多くの

 

人間にとって「今感じている幸せ」を疑うことは困難なのです。

 

 拡散せよ! に代表されるリツイートが広がるのはこの反動で

 

自分の欲求を満たしてくれる快適な関心空間を穢す輩を成敗する

 

のは正義の心と寝起きを起こされた不機嫌さによります。

 

 または恋という熱病にかかった女性に

 

「あの男はやめておきなさい」

 

 という指摘が恋の炎に油を注ぐように。関心空間の住民になると

 

関心のある世界の外には「盲目」になります。

 

7)克己のない世界では馬鹿は加速していく

 

 上記の関心空間に通じますが、己を磨くことがなければ

 

馬鹿は加速するのは当然のことです。馬鹿の表現が悪ければ

 

思考停止としてもよいでしょう。以下の一例がネットでは

 

恒常的におこっています。

 

 偏差値50の人が50の本を読みます。

 

 これはその人の能力をフルに活用すれば全てを理解できると

 

いう状態です。

 

 同じ人が偏差値45の本を読んだとします。

 

 今度は9割の力で理解することができます。

 

 更に偏差値40なら8割で大丈夫です。

 

 つまり「楽な状態」に慣れた人間が、能力を活用することは

 

難しく、すると理解できるレベルの文献や意見に迎合していく

 

ということです。

 

 さらにネットの中は関心を満たしてくれる世界で、それが

 

「全能感」を与えてくれます。これが「自分は特別」という

 

意識を芽生えさせ、自分の理解を超える意見にこう向き合います。

 

「俺が分からないということは、こいつの説明が悪い」

 

 以上、蛇足終了。

 

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