暴力があると誰もが認識していた時代

ボストンで爆弾テロが起きました。死者3名を含む沢山の被害者がでる惨事であり憎むべき暴力です。しかし、それは現実に起こりえることであり、もちろん、我が国で起こることもあるでしょう。

そんな馬鹿なと思えることは幸せでしょうか、それとも。

グアムで通り魔事件がありました。あれも痛ましい事件です。そしてワイドショーは「防ぐことができなかったのか」と珍妙・・・もとい神妙な表情を演じながらつぶやきます。

結論。

「防げません」

ただし、事件は現地時間の深夜、そして繁華街で起きています。
深夜も繁華街もリスク要因です。

闇というのは人を暴走させる性質があり、昭和時代に学生を過ごしたものなら多少の経験があると思いますが、夜中に書いた憤死に値するラブレターは恋心の暴走によるものです。

愉快犯や騒擾犯が狙うなら繁華街。多くの人の目に留まり、迷惑をかけ、容易に被害を拡大させることができるからです。

誰でもよいから人を殺したかったとは、とにかく沢山の迷惑をかけたいと同義で、田園のあぜ道で決行したとしても、農夫をひとりふたり犠牲にできるか否かで、場合によっては鋤や鍬により応戦されるリスクも抱えます。雑草を刈っているときなら鎌との戦いで、往年の香港映画です。

しかし、繁華街ならピボットターンの半径で、数人に危害を加えることも可能です。もちろん、迷惑な話ですが。

白昼の人通りの少ない住宅街に現れる通り魔もいるので、その反対が安全という訳ではありませんが、社会というものは常にそのリスクと背中合わせで、織りこんで生きていかなければならず、織りこむことでもう少しだけ日本社会が温和になるというのが今回のテーマです。

その、リスクとは、「暴力」。

先のテロ事件などは正直、どうしようもありません。そしてあれぐらいの爆発力の爆弾なら私でも作れなくはありません。というより、爆弾の原理は簡単で、アルフレッド・ノーベルの伝記でも読めばそれほど難しくないことはわかるでしょう。

そこで怖いのが模倣犯で、ワイドショーではちらっとキーワードを紹介していましたが、ここでは触れません。なぜなら、組み合わせると製造法は「ネットで検索」するとでてきます。

わたしは暴力の潜在性を認識しているので、わざわざ火をつけるようなことを・・・洒落ではありませんが、するほど愚かにはなりたくありません。

暴力はあるのです。存在するのです。

暴走自転車が社会問題となっています。この一因に暴力・・・の不存在があると見ています。

昨夜のことです。

自動車で通りへ左折合流しようとしていました。一時停止で完全停止し、カーブミラーを確認してそろりとでると、助手席の妻が叫び、声に反応して急ブレーキを踏みます。左手から右側走行の自転車が無灯火で突っ込んできていたのです。

一時停止プラス徐行でしたし、妻の叫びで停止したので自転車との距離は1m以上は保たれていました。自動車の前をすこし膨らみながら、通過する自転車の運転手は二十代前半と思われる女性です。

通過しながら彼女は運転手である私を睨みつけます。

わたしの運転を危ないと思ったのかも知れません。道路交通法上でいえば彼女に非があることを指摘するのは野暮でしょうか。念のため記せば、自転車は軽車両で右側走行はいわゆる「逆走」にあたります。さらに夜間の無灯火走行は罰金刑です。

念のため、保身のために完全停止としているのではありません。丁字路の縦棒から横棒への左折で、ここは横棒から縦棒への右折車両が強引というか、停止線の半分に乗り上げるようにショートカットして右折するクルマが多く、停止線で止まっていてもぶつかりそうになるぐらい運転が荒いところはさすが埼玉県です。といっても足立区から徒歩1分の場所ですが。

事故時に停止線で止まっていたかどうかは大きく、ドライブレコーダーもつけていますが、特にこの丁字路では完全停止を肝に銘じています。そして、こちらが完全停止しているのに、ショートカットしたがゆえに接触事故になりそうになった自動車のドライバーも、自分からぶつかってきているにも拘わらず、自転車の女性と同じく睨んできます。

どうして睨めるのかが不思議です。そしてこれは少年少女も同じ。

厳密に言えば警笛ならせの標識がないところでクラクションを鳴らすのは違法です。しかし、横一列に列び併走する自転車を見つけて、そのままひき殺しても良いのですが、交通刑務所のお世話になってはこちらが損をします。小学生ぐらいなら、窓を開けて怒鳴り散らすこともありますが、軽く鳴らしたクラクションに対して、睨みつけるのです。あ、主婦やおばあちゃんに近いオバサンでも睨みます。

知らない人を睨むという行為は暴力の導火線に火をつける行為だと知らないからなのでしょう。

自転車から睨んだ女性。わたしの脳が少しいかれていたら、そのままハンドルを切り、追い掛けまわしてひき殺されるかもしれない、という想像力を働かせることはなかったのでしょう。あるいはクルマからおりて跳び蹴りをされるなど考えもしないでしょう。もちろん、パワーウインドをスライドさせ射殺されることはありえない・・・と誰がいえるのでしょうか。

この地名のついた駅前は交番もあるのですが、そこに逃げ込み助けを求めた被害者を、追い掛けてきたヤクザが引きずり出すのをそのまま放置していた事件もあり、同じ市内の隣の駅ではヤクザのクルマが人待ちで違法駐車をしている姿をちょくちょく見かけます。ヤクザ=ピストルとはいささか短絡的ですがね。

自動車に乗っているからと安心もできません。自動車のガラスは比較簡単に割れる構造になっているので、バールでもあれば車内はたちまちデンジャーゾーンです。座っている状態での攻撃は防御しかできず、しかも自動車の構造的に「半身」になっており、力を出し切ることが困難だからです。

「暴力をふるわれない社会」は素晴らしいです。
それは「暴力が存在しない社会」ではありません。

しかし、存在しない社会という錯覚が常識となっていないでしょうか。そしてそれが故に、他人への憎悪や、攻撃されない前提においての抗議の態度を第三者に振りまいていないでしょうか。

高校に通い始めた姪が、通学でのった女性専用車両で怒り心頭です。奥に乗っていた女性が降車の際に、「降ります」と声もかけずにあたりの人を突き飛ばしながら降りていったというのです。

降りる。という権利の行使なのでしょう。しかし、乗車券には他人を突き飛ばす権利は与えられていません。それともパスモを利用するとその特典が与えられるというのでしょうか。女性専用車両ですが、誰かがこの女をぶん殴ってやれば、二度とおなじ振る舞いはしなくなるでしょう。やられないと、高を括るものほど乱暴になるものです。

昭和時代、暴力は比較的日常にありました。知らないオジサンに注意を受けて殴られる同級生は結構いました。同級生とするのは、品行方正を振る舞うことにかけては天下一品だったわたしは、大人が視界に入った瞬間にモードチェンジしていたからです。

要領が良いと言うより、家庭内に暴力・・・体罰が・・・えぇとにかく拳骨が当たり前に存在し、暴力から身を守るために身につけた危機回避能力です。同級生はリスク感度が鈍かったのでしょう。

ブログやメルマガなどで菅直人のようなクズはさておき、発言や行為に対しての批判はしても、人格攻撃まですることに躊躇するのは暴力への感度です。ここまでいったら、対面したときに殴られても仕方がない、その覚悟がなければ言葉を控えるようにしています。もちろん、殴られれば殴り返しますが、そこまで覚悟があって侮辱しているのかを一瞬だけ自問するのです。勇み足も多いことは認めた上で。

ところが「ネット論壇」や「ブログ論壇」では人を詰ります。馬鹿にします。小馬鹿にします。キチガイ扱いは普通です。闇討ちにあうというリスクをそこに見つけることができません。

橋下徹大阪市長がかつて

「喧嘩には自信がある」

と放言していました。「口」の脱字をそこにみつけるのですが、昭和の頃なら、これに反応するバカが現れ、市庁舎の前で

「俺とタイマンはれやこら」

と騒動を起こしたものですが、寡聞にして知りません。当たり前ですが古市憲寿が語る

「死ねとか当たり前に言っていた昭和」

でも、この手のバカは警備員に確保され、警察に連行されたもので野放しになっているわけではありませんよ。そして「死ね」とかいうのはその筋の職業の業界用語で一般人で使っていたのは小学生男子ぐらいです。それもちょっと行儀の悪い。

彼は『仁義なき戦い』とか『ビー・バップ・ハイスクール』を昭和のスタンダードと思い込んでいる節があり痛すぎますが、これは余談。

極論になりますが、暴力があると誰もが認識していた時代、敬意と節度を持って他人や社会と接していたのです。道徳的ではありますが、それは自己防衛の手段であり、道徳とは下世話に言えば生活の知恵だからです。

暴力を礼賛するものではありません。ただ、暴力の存在すら認めない社会になったことが、人心の荒廃を加速させていることは事実です。

じゃんけんの「グー」をそのまま前にぶつければ「パンチ」。「チョキ」を相手の目に向ければ「目つぶし」。「パー」を水平方向でぶつければ「ビンタ」です。さらにサッカーボールを蹴る要領を人に転用すれば「キック」で。お早うございますの挨拶位置を、相手に触れる距離に設定すれば「頭突き」です。

暴力はいつの時代も存在します。もちろん、いまでも。

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