憧れのロールモデルは毎日新聞出身の佐々木俊尚

ネット選挙が解禁されれば若者に訴えかけることができ、投票率が上がる。むしろ、解禁しなければ若者が政治に興味を持たず、さらなる政治離れがおこる。

あまりにも愚かな主張すぎて、出自を忘れましたが、こんな言説がありました。

まず、ネット=若者という時点で思考停止しています。

たしかに若者はネットを多用しています。しかし、いまのトレンドはLINEでありパズドラです。政治になんて興味を持っていません。というか、そんな若者をこう呼びます。

「変わり者」

まずは目先のことが大切です。人は経験から未来を創造するもので、二十歳そこそこの若者が40年先の還暦後の社会を見通すのは困難です。

衆院なら4年に1回、参院はハーフ&ハーフで3年ごとだとしても、若者にとっては遙か彼方の未来のできごと。不惑を数えるオジサンやオバサンとは異なります。若者にとって政治が遠いというのは、昭和の頃から変わっていません。そしてこれは幸せなことです。

「政治を考えなくても生きていける」

革命に身を投じるのも、命がけでハンストを行うのも、政治を考えなければ生きていけない国に生まれた若者だからです。若者不幸論、不平等論も、この視点に立てば、無い物ねだりのワガママに過ぎません。

先日の東京都都議選。参院選を占うと国政選挙並みの体勢で、各政党挑んだ結果の投票率は過去2番目の低さです。これは日曜日の朝、晴れた空をみて確信していました。投票所に足を運ぶのは、梅雨の晴れ間のお得な使い方ではないからです。

その結果、共産党が躍進しました。

これまた、いかれた言説がありました。

「ぶれない政党というイメージが、アンチ自民党の受け皿になった」

違います。低投票率により組織票が生きたのです。多少の脱原発票も入ったでしょうし、ある意味、橋下徹の従軍慰安婦発言が逆説的に援護射撃になった可能性は否定しません。なぜなら日教組による自虐史観の洗脳が骨髄にまで沁みている昭和の子どもが少なくないからです。洗脳なので論理的ではありません。だから怖いのです。

「何となく嫌」

と論理を拒否して感情論に逃げ込まれては、史実を元に説明しても

「とにかく嫌」

とかぶりを振り、事実だけでも知って欲しいとすがろうものなら

「いやなもの嫌」

と、嫌悪感と歴史を重ねて悪化させてしまいます。

クラスメイトから始まり、20年以上戦力保持の必然性を説明してきたわたしの結論です。だから国際関係を語るときは「サッカー」を代弁者として、歴史認識にしては「男女の別れ話」などに置き換えて、感情をほぐすところから始めなければ洗脳は解けないというのは今回のテーマではありません。

話を戻す前に共産党。正しくは日本共産党。いまだに共産革命を目指しています。「ぶれない」ことで評価するのは間違いです。一途な思いをぶれずに持ち続け行動に移したのが「ストーカー」であり、信仰に固執するあまり排他的になったのが「カルト教団」だからです。ソ連という人類史に残る社会実験の失敗をみても、その夢を追い続ける彼らはカルトです。そのぶれない姿勢は、あと20年ぐらい経つと「世界文化遺産」に選ばれるかも知れませんが。

さて、本題はネット選挙・・・というかネットをめぐる様々な世論のおかしさについて、それが生まれる理由が「言えないこと」。

まず、おかしなネット論が生まれる第一の理由はネットの側にあります。

津田大介氏や佐々木俊尚氏に代表される「過剰礼賛」です。ネットはリアルの延長にしかありません。ところがそのネットを拡大解釈したがります。ほぼ妄想です。想像に過ぎない近未来を、みてきたように語ることで騙される人々がいます。それがマスコミです。

アラブの春はその代表例です。チュニジアからはじまった、長期独裁政権の打破をソーシャルメディアの手柄として礼賛しました。実際にはアルジャジーラというマスコミの普及により、国民が別の世界を知ったことに端を発するのですが、ツイッターやらフェイスブックが世界を救ったかのように事実誤認を垂れ流します。

そのひとつ、エジプトはいま厳戒態勢です。外貨準備高は革命前に360億ドルあったものが130億ドルにまで低下し、輸入が滞り停電が相次ぎ、治安の悪化も叫ばれています。電気がなければツイートもできないのは自明です。

ネットは人々を幸せにしたのでしょうか。革命で豊かになったのでしょうか。

そもそもアラブ社会に西欧型の民主主義が根付くのは困難です。宗教が違うからです。そして最近まで独裁政権が存在できた理由もそこにありますがこれも余談。

ブラジルで100万人を超える大規模デモが起きています。脱原発の水増し発表ではありません。支えているのがソーシャルメディアです。その結果、ブラジルの株価指数は底値の底を割る状態で、ワールドカップとオリンピックを見越して投資していた弊社の財テク資金はアベノミクスの利益と均衡縮小状態です。ソーシャルメディアがなければ、この損失は・・・とは、いいません。投資は自己責任。ちっ。

ネットは道具に過ぎません。リアルを補完する道具です。革命やデモを支えたのは通信インフラとしてで、使い方によっては暗い影を落とします。ところがネット側の代弁者は光の面しか語らず、それをマスコミは疑いません。

”ネット活用した人の方が落選したと言わんばかりの書き方だけど、実際は地盤や看板のない候補者が藁にも頼る思いでネット使ったけど時すでに遅し、という話じゃないかなぁ。: 都議選:ネット積極活用、得票に直結しなかった(原文ママ)”

徳力基彦氏というネットのなかの有名人のツイート。毎日新聞が伝える都議選のネット利用について噛みついています。

「ホームページ(HP)、ツイッター、フェイスブックを三つとも使っていると答えた89人のうち、約6割の55人が落選した」

という記事を指すのでしょうが、徳力基彦氏はネット業界の典型的な代弁者です。

地盤や看板のない候補者。これがまず、論外です。なんの基盤も持たない立候補者を泡沫候補とよびます。藁にすがろうが、鰯の頭に願をかけようが、当選するわけがありません。

ネットに不利な情報を見つけると脊髄反射的に否定するコメントを発するのがネット業界人の特徴です。3秒考えればわかりそうなことを、考えずに発します。宗教かビジネスか、あるいは両方かも知れませんが、これをマスコミが鵜呑みにします。なるほどそんなものかなぁと。

徳力基彦氏の指摘を否定します。なぜなら、選挙はもっと泥臭いところで行われているからです。

あなたが有権者で、目の前に候補者がいます。あなたと握手せずスマホで「なう」とつぶやく候補者に票を投じるでしょうか。

もちろん、これは比喩表現です。ネット選挙が解禁されていなかった都議選で、選挙期間中の「なう(笑)」はできませんでしたが、潤沢の資金と豊富な選挙ボランティアに支えられている政治家はほとんどいません。みなカツカツです。

ネット業界風にいうならこう。

「リソースの分散」

候補者本人はもちろん、秘書や運動員の何パーセントかがネット対応に追われたことで、手薄になったリアルの対応があった可能性に目を向けなければならないということです。

藁論とは感情論のようなものです。たぶん、そうだったんじゃないかなぁで、統計を否定するのは科学的な態度ではありません。また「藁にもすがる思い(翻訳)」のすがったツイッターという選択肢が誤りだった可能性もあります。ツイートする暇があれば、街頭に立ち挨拶をしたほうが票につながったかも知れないということです。ネットの力不足を認めるということです。

さらにリソース(経営資源)としてみるなら、ツイッターやフェイスブックのフォロー、フォロワー、友だちを

「選挙区内に集中させているか」

という視点も実際の選挙には不可欠です。仮に1万人のフォロワーを誇っていても、選挙区内に何人いるか、これこそがネット選挙活動におけるソーシャルメディアの利用において、最も重要になる視点だからです。

ネット有識者達は、こうした地に足をつけた視点を持ちません。ふわっとしたグローバルを基準に語ります。だから、トンチキな主張を恥じずにでき、多々読み間違えるのです。ネット選挙解禁=若者論も同じ。街にでて若者をみれば、LINEとパズドラです。興味の対象は政治ではありません。選挙を語るにしてもAKB48です。

そしてこの問題を悪化させている最大の原因は「マスコミ」です。

鵜呑みにします。斟酌しません。批判精神を持ちません。

徳力基彦氏のツイートをリツイートした元新聞記者がいました。

(笑)です。いわゆるマスコミの「なかの人」で傍流に置かれているものは、ネットに新世界を見つけ、憧れのまなざしでネットを見つめるものが少なくありません。彼らにとっての憧れのロールモデルは毎日新聞出身の佐々木俊尚氏。そしてネット業界人の発言をうやうやしく扱います。マスコミの本流にいるものは、ネットに疎いので傍流のタワゴトを、同じ仲間だから批判精神を持っているはずだとの思いこみで放流します。

そしていつまで経ってもこういいます。

「ネットに詳しくなくて」

ウィンドウズ95の発売から数えて18年。当時、生まれた子供が自動車免許を取得できる年齢になっても、知らないままで生きられる人々に、秒進分歩と呼ばれるほど変化の早いネットの本質を理解できるわけがないのです。

だから空想や妄想に騙されます。皮肉にもこれがネットの住民を苛つかせ、さらなるマスコミ離れ=不信を加速させています。政治の裏側や国際情勢、宗教観の違いなどは心に理解できていなくても、ネットのことなら皮膚感覚で理解しており、トンチキな主張になんじゃそらと。

というわけで、半年以上書けて書き下ろした拙著。

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