ヤバい統計学

白人と黒人はどちらが賢いか。人種差別の話しではなく、統計学による試行錯誤を描いた『ヤバい統計学(阪急コミュニケーションズ)』によれば、大学試験適性試験(SAT)の公平性を担保するために真面目に議論されたことです。もちろん、人種による能力差はありません。

しかし、両者の集団の平均点は白人のほうが高く、白人と黒人の回答率が大きく異なる設問があることがわかりました。文化や風俗に由来するもので、日本でみれば、空から降る「雪」について北海道民と沖縄県民では、大きく印象が異なるようなものです。詳しくは本書をご覧いただくとして、両者の正答率が乖離する設問は、人種差別につながりかねないと「平均点」が注目されたのです。

しかし、平均に目を向けるのは統計学として正しくないアプローチだと指摘します。

平均とは抽象的な概念で、事実を映しだすわけではありません。

白人と黒人の集団から、それぞれの「点数の高い集団」を抽出して比較すると点差はなかったのです。黒人は教育機会に恵まれなかった学生が多く、彼らが黒人集団の平均点を引き下げていたのです。つまり、両者の平均点に開きがあったのは、設問が理由ではなかったのです。

本書では、点差に表れる文化差も紹介し、問題を調整する例も紹介されています。

実は拙著「完全! ネット選挙マニュアル」の執筆にも本書が役立ちました。昨年の選挙戦前のフェイスブックの利用状況を調べたところ、自民党が2割と高かったのですが、割合で見てもっとも利用率が高かったのは「日本維新の会」です。なるほど党首がツイッターで吠えていることは・・・と、統計的視点に立つと、両者の分母が大きく異なることに気がつきます。

異なる分母から導き出された割合を単純比較すると「誤差」が激しくなるのです。選挙に限らず、状況を分析するときに、統計学的視点は不可欠です。

その他にもディズニーランドで行列をなくす方法の取り組みなどが紹介されていますが、痛快だったのが

「なぜ? 宝くじ売り場の人は高額当選しやすいのか」

について、統計学を駆使して実状を暴いていくシーンです。

■ヤバい統計学
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