谷西氏が関係者なら記事ではなく広報。それでいいのか日経新聞。いつもやるのだ日経新聞の巻

 メディアリテラシーを身につける理由は数々ありますが、やはり広告代理店での勤務でしょう。街角の中小代理店ながら、小売りの現場に接していると、そこから連なるメーカーの手口やり口は、報道のそれと偉い違いで、決定的だったのは、爆発的な普及を始めたケータイ市場の舞台裏に触れてからです。

 いわゆる「0円ケータイ」のカラクリです。端的に言えば余剰在庫の処分市で、処分の原資は利用者から聴取したバカ高い通話料で、ドコモ地域会社間の談合的競争の犠牲になっていることを知ったときです。

 そして知ります。ウソはついていないが、本当の全部をいっていないことを。

 昨日(2014年7月29日)の日経新聞はその典型例。

 先日、わたしも新聞の一面に名前が載りましたが、容疑者名でないのは幸いですが、それは文字のみです。ま、ビジュアル的にもたないというのもありますが、うら若き・・・とは言い過ぎですが、かわらしげなお嬢さんが顔出しで飾ります。

 お嬢さんの名前は谷西梨絵(27)さん。ご主人との二人暮らしとのこと。

 第一印象は「あら、可愛い」。経済誌に似つかわしくない、広報面や地域面かと錯覚するお嬢さん。しかし、即座に違和感を覚えます。違和感の正体は広告です。広告を作る側にいたもの、いや、いまも手がける側からみたときの不自然さが鼻についたのです。

 ソファーに腰掛け見上げた谷西梨絵さんを、推定2.5m上空から撮影しています。右手に持ったスマホの画面を彼女は突き上げ、ソファーとその周辺は洋服やペットボトルが散乱し、一瞬

「片付けられない女のゴミ屋敷」

 の取材かと思ったのが、違和感の始まりですが、中央に収まる女性は朗らかな笑顔です。

 一面を飾ったこの記事は「コンシューマーX」というシリーズ企画で、

“グッバイ! 現金
 今どき女子、スマホ駆使”

 と見出しを打ちます。

 端的に言えば

「現金使わないよね。スマホで買い物するよね。新しい消費者像がうまれているよね」

 という風潮を作りだすための、捏造ギリギリの記事でしょう。

 週刊SPA!あたりが得意とする、結論ありきの企画といったほうが正確でしょうか。いずれにしろ、事実にこだわる新聞報道からかけ離れており、集団的自衛権=徴兵制と煽る朝日新聞レベルです。

 谷西梨絵さんは買い物の7割をネットスーパーなどで済ませるとし、7月のある週で使ったお金は2万7千円で、内訳は雑貨と洋服に1万8千円で、残りは映画のチケットや生活用品その他、そのうち現金での支払いは1万円だったとし、わざわざ

≪ネットの4割にとどまった≫

 と結びます。そもそも1週間で1万8千円も雑貨や洋服に使うのでしょうか。月換算で7万2千円です。他人の台所に首を突っ込む野暮をあえてするなら、残額の月換算で3万6千円。ここに、先のネットスーパーにおける支払いは含まれているのでしょうか。生活費におけるご主人の支出割合は・・・とは、まったくもって余計なお世話ですが、報道において「社会現象」として紹介するには、あまりにも「恣意的」な切り取り方です。

 共働きと仮定し、可処分所得が大きいなら、月額7万2千円も洋服や雑貨に注ぎ込むことも可能ですが、

「若者の貧困」

 が叫ばれるなか、それは一般事例として紹介はできず、むしろ

「ニューリッチ」

 という企画で取り上げるべきでしょうが、こうしたツッコミすら虚しくなるのが日経新聞の記事・・・いや、プロパガンダというか広報宣伝活動です。仮に軽減税率が新聞に適用されても、日経新聞だけは除外しなければなりません。国民の知る権利ではなく、企業活動にのみ寄与する報道なのですから。

 さて、先の「ゴミ屋敷」の映像とは、ネットによりゲットした品々を並べた「演出」なのだと本文を読んで理解します。しかし、谷西梨絵さんへの違和感の正体はそこではありません。

 スマホを掲げた右手、一方の左手は膝の上に置いたパソコンのキーボードに置かれており、それは広告にありがちな「ポーズ」です。

 そして検索してみると該当するのは一人。
 株式会社Fablicのスタッフ。

 唯一の写真がウエディングドレス姿で、顔かたちからは「似ている」ぐらいしか判別できません。

 そこで株式会社Fablicのサイトに当たってみると

“日経新聞の朝刊1面にフリマアプリ『Fril』が掲載されました。 写真でも『Fril』が使われております。『今どき女子』のスマフォ活用術の1つとしてご紹介いただきました。
https://fablic.co.jp/news/0729nikkei/

 と紹介しています。彼女が高々と掲げたスマホ画面に映っていたのは、ネットで検索して唯一見つかった「谷西梨絵」の勤務先が開発運営しているネットアプリの画面だったのです。偶然でしょうか。

 ちなみにベネッセで社会問題のようにされたように、名前は個人情報であり「顔」はそのままですし、消費行動なども、個人特定に利用できる有力な情報です。

 fablicのサイトにあるように記事の結びで「Fril」は登場しますが、その前段には同様のアプリ「メルカリ」が紹介され、累計ダウンロード数はこちらが3倍弱です。率直な感想から言えば「Fril」は取材協力の謝礼がわりに、紹介したようにしかみえません。

 1面の記事には3人の女性が登場し、未成年のひとりは置いておき、もうひとりは福田有美(32)さん。彼女の名前をググって辿り着いたのが、株式会社プラグラムの広報とのこと。

 やはりWeb系の企業で、ワールドビジネスサテライトにも出演しているとあります。こちらも他人のそら似、偶然の同姓同名の可能性は否定しきれません。

 しかし、「グッバイ現金」と謳い、ネット通販へシフトしているというのなら、この二人の女性の「素性」を正しく伝えなければ、報道とは言えないと言うことです。

 例えばこんな感じ。

≪ちかごろ若い女性にオートバイが人気だ。しかも往年の名車「Z2(ゼッツー)」が好まれているという。Z2好きを広言する女性、佐藤惠子(アルバイト・仮名)に話を聞いてみた≫

 と、このアルバイトがガソリンスタンド勤務で、往年の工藤静香のような髪型、いまなら板野友美のようなら、話しがちがってくるということです。これは日経新聞でよくみる「手口」ですが、それは一般論ではありません。

 残念ながらよくある話し。日経新聞とフジテレビでは。

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