鵜澤佳史の取材から見えてくる朝日新聞の変わらない体質

 シリア国や、その周辺に渡航したり、渡航を試みたり、それを応援したりする人物がメディアを賑わせています。日本人には理解しがたい死生観と宗教観を持つ、中田考氏はともかく、渡航を試みた北大生(休学中)には

「自分探し」

 という批判が高まっていますが、そのままでしょう。

 芸能人の不倫が発覚するたびに「不倫は文化」と述べた石田純一が取材を受けるように、「自分探し」を広めた中田英寿氏のコメントが欲しいところです。

 実際に渡り、怪我をして帰国した若者として 鵜澤佳史(うざわよしふみ)氏もまたメディアを賑わせている一人。

 ところが鵜澤佳史氏は、FacebookやTwitterで発言が歪められているかのように繰り返しますが、この手の若者が、果たしてどれだけ正しい言葉を使ってメディアに語っているのかへの疑問が残ります。

 FacebookやTwitterに見つける独りよがりな文章レベルからの推論です。

 それはさておき、朝日新聞はいまだにこういう報道をしているのかというのを「鵜澤佳史」に見つけます。

 例えば、鵜澤佳史氏をこう紹介します。

“「生きるか死ぬかの勝負がしたかった」。東京都在住の元自衛官、鵜澤佳史(うざわよしふみ)さん(26)は昨春、シリア反政府組織の一員として、政府軍との戦闘に加わった。
朝日新聞デジタル http://t.asahi.com/g35s

 この書き方、自衛官であることに比重を置いていますが、鵜澤佳史氏は「陸上自衛隊少年工科学校」で、当時は「自衛官」の身分でしたが「少年兵」というほうが正しく、現在は「定数外」になっています。

 あるいはこの後の記事で、元自衛官に意味があるのなら、これでも正しいのですが、そうした記述はありません。ならば

「自衛隊=戦闘、戦争」

 という印象操作を訝ります。

 そして呆れるのが、鵜澤佳史氏の証言を紹介するだけで「裏とり」した痕跡が見つからないからです。

“小学生時代にいじめられた。何もかも壊したかったという。中学卒業後、自衛隊、大学を経て、農産物を売る会社を起こした。でも「極限状態で戦いたい」というあてどない思いが満たされることはなかった。”

 朝日新聞は虐められていたという事実を掴んでいるのでしょうか。しかもそれは小学生時代で、記事をなぞれば

“中学卒業後、自衛隊、大学を経て、農産物を売る会社を起こした”

 とここまでの人生で振り返り

「極限状態で戦いたい」

 という結論は接続しません。12才までと同じ年月を経ても克服できなかった心の傷だとして、他人を、縁もゆかりもないシリア人を殺して克服しようというのでしょうか。

 ならば、鵜澤佳史氏が特殊な人物ではないかと疑うべきでしょう。特殊な人物が悪いとは言いません。しかし、記事の見出しは

『「力試しをしたかった」 日本人、シリアで戦った理由』

 です。日本人という括りで表現すべき人物ではないでしょう。特殊事例の一般化は、狭義と広義をすり替える「強制連行」と同じで、捏造と誤報が生まれる苗床です。

 さらに「裏とり」。記事によれば、農産物を売る会社を2012年秋に売却したとあります。

 その後、シリアに渡り、戦闘に加わった経緯などの裏とりは難しいとしても、会社の売却先や、当時の取引先に話を聞くことで、
鵜澤佳史氏の発言の信憑性が高まり、記事への信頼度を高めることができますが、まったく触れていません。

 僭越ながらITジャーナリストらしく、「ネットで検索」をしてみます。

 すると会社を譲ったとされる2012年の前年、鵜澤佳史氏は

1月25日 ベジタブル王子、現る。

 と題して、テレビ朝日で紹介されていることを発見します。松尾由美子アナウンサーの体当たり企画のようで、キャプチャーの画像はテレビ画面ですから放送されたことは間違いありません。

 正確な放送日時は不明ですが、サイト情報を時系列で保存する「internet archive」によれば、2011年の2月13日の日付になっているので、同年の1月25日頃のオンエアーと考えられます。

 このとき「東京農業大学の3年生」と紹介されています。

 同じ年のほぼ同じタイミング。

「認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター」と、外部組織構成の筆頭に「日本労働組合総連合会」とあり、顧問や理事を見るに、左がかった団体における「ふるさと起業家」(起業支援対象者)と認定されたのが2011年の2月5日。

ビジネスプラン・コンペティション第9回 開催レポート(参照)
http://goo.gl/Om6Xvk

 すると先のテレビ朝日は、左翼のゆるやかな連携と言えなくもありませんが、証拠がないので邪推です。

 こうしたコンペに勝ち抜きながら、その翌年には

「極限状態で戦いたい」

 との思いを実行に移しはじめます。

 先のコンペにおいての資金提供は最大200万円とありますが、鵜澤佳史氏がいくらの支援を受けたのかは公表されていません。しかし、幾ばくなりとも支援をいただきながら、翌年にはしれっと会社を売り渡してしまったのです。

「極限状態」ならば、ビジネスにおいても日常的に起こり得ることで、格闘技の舞台に立てば、同じく、その筋の方を挑発すれば、どこの繁華街でも達成できます。しかし、鵜澤佳史氏はそれを選択しませんでした。

 一般常識に照らせば、鵜澤佳史氏の発言は信頼に足るものではありません。

 本人とおぼしきツイートを紹介します。

 時系列から、シリアで怪我して日本に帰ってからの入院生活のなかでのツイートです。

 私が大手の新聞記者なら、こうした鵜澤佳史氏の人間性の一端を見せるなど「逃げ」を用意しとかなければ、怖くて記事になどできません。東京スポーツや週刊プレイボーイの記者なら、躊躇なく掲載しますが。

 鵜澤佳史氏を追うなかで、佐々木俊尚氏が、わたしをブロックしていることを発見したのは収穫で、彼については近日ブログにまとめますが、鵜澤佳史氏を現代日本の若者論と結びつけるのは虚報であり誤報といっても過言ではなく、その点は、断定を避けてはいますが、裏とりをしない朝日新聞の体質が図らずも明らかになったことだけは、鵜澤佳史氏の「シリア自分探しの旅」に意味があったのかもしれません。

 鵜澤佳史氏には「バンキシャ!」だったと記憶していますが、戦乱が激しくなり母国に帰れなくなったシリア人の言葉を捧げます。

「日本人は、シリアにシリア人を殺しにこないでください」

 しかも「自分探し」。他人を殺して見つかる自分探し・・・とまぁこれは流れ弾ですが、これに反戦、護憲、リベラル、左翼が噛みつかないのも不思議な話ですよね。

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