日本は世界5位の農業大国

 初刷りが2010年と、ちょっと古い本でいて、話題になったことは覚えていながら、読んでいなかった本を先日、アマゾンで取り寄せて読了。

 TPPの議論が喧しい昨今なので、むしろタイムリーとなったのが『日本は世界5位の農業大国』。

 失礼ながら、著者のその後を耳にしないので、ググってみたところ、そのツイッターアカウントには、米国共和党大統領候補のドナルド・トランプの上気した顔が確認でき、何が起きたのかとよく見てみると、翻訳業も兼ねているようで、代表作として紹介されていた『国家を喰らう官僚たち: アメリカを乗っ取る新支配階級』は以前紹介しましたよね。

 「食糧自給率」という枠組みでの捉え方が、そもそも間違いで、しかもそれは「カロリーベース」。高級果物や高品質野菜のカロリーベースが低いのは当然ながら、一方で競争力があるのはこれらの農産物だと喝破。

 その通り。日本の高品質な米は「嗜好品」というカテゴリーで勝負できますが、カロリーベースという視点で集計すれば、小麦や雑穀と同じカゴにはいってしまいます。

 有事の際の食糧危機を喧伝しますが、有事の際に食糧危機が訪れるとは、地球規模の飢饉でも発生しない限りあり得ないこと。

 なぜなら、敵の敵は味方で、小麦の売り手は、より高く買ってくれる顧客ならいつでも大歓迎で、経済力に代表される国力を維持していれば、有事に際しても仕入れ先に困ることはない、というシンプルで力強い主張が展開されます。

 農業人口減の危機煽りへの苦言もその通り。

 トラクターやコンバインにより機械化、さらに農地集約がすすめば、人的な省力化がすすむのは工場と同じく自明で、いまならここにIT化が加わり、高収益農家が増えている理由です。

 番組は失念しましたが、米国の大規模農園で修行した、若き農家がこう語っていたことを思い出します。

「何エーカーと作付けするから大雑把だと思っていた。
 実態は違う。ミリ単位の緻密さなんだ。
 なぜなら、手元の1ミリの違いが、1キロ先では何メートルの誤差となる。だからGPSまで使って緻密に作物を作っている」

 ちなみに、いま野菜の価格が高騰していますが、野菜が高いのはせいぜいひと月。安くなったときに報じない、マスコミが悪いだけのことです。

「キャベツがなければ、モヤシ、あるいは豆苗を食べれば」

 とアントワネットなイヤミを言いたくなります。

 正しい競争環境を与えてあげれば、日本の農業はまだまだ強くなれる。心強い提言は、いまこそ手にしたい書籍です。

日本は世界5位の農業大国
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