インターネットは道具です。そしてこの道具はその価値と使い方を正しく利用すると今までの常識を覆す結果をもたらします。
2008年6月20日発行号
目次♪
1:新着情報
2:伸びる会社は知っている!→価値観に焦点を当てる
閑話休題:心を1gだけ軽くする一言。自分でいいんだよ〜
3:実践テクニック編!〜文章力という宝(26)〜
4:プロが教えない話外伝!〜濡れ手に粟を良しとするか否か〜
それでは始まりです!!!
インプレスR&D ウェブ担当者フォーラム<最新号>
■心得其の七十七
「ドコモの料金はなぜ高い。いくらで売る? 相場を無視する価格のつけかた」
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/06/18/3291
ムトウマーケティングサポート「通販支援ブログ」連載<最新号>
【第5回】こんな会議がWebを殺す。コンテンツ会議の大人術
http://blog.mutow-ms.jp/ec/howto/post-27.html
「こういっては何ですが『毒』があると」。
先日とあるオファーをいただき、その打ち合わせで聞いた推薦理由でした。
私の連載をお読みいただいてのことです。
これを他の企画の編集者や担当者、またクライアントにすると「わかる」とみな頷きます。そして口を揃えて「それが良い」といいますので素直に誉め言葉と受け取っております。
本人としては「オブラード」に包んで劇薬を飲み込みやすくしているつもりではいるのですが。
最近の日本では理解不能な犯罪が立て続けに起こっています。
様々なアプローチで報道が事件を解明しようとしていますが、エリートが異常者を解説するところに無理があり、これも無茶苦茶な理屈ではあるのですが、無理な解説が異常者予備軍を無理解という絶望に陥れています。
更に「格差」や「ネット」といった「言い訳」を次々に与えていきます。
一言でいうなら「人は分かり合える」というエリートの傲慢です。
「分かり合える部分がある」ことは認めます。
しかし、一流大学に入学できる環境に育ち、その使命を全うして社会の重責を担う(かどうかに異論はありますが)エリートに、今いる環境を嘆くことしかしない人間を完全に理解できるわけがないのです。
熱い、寒い、腹減ったと人生観は別物です。
ビジネスでも同じことがいえます。
価値観の違う人間にものを売るほど大変なことはありません。
チラシをチェックして牛乳や卵を底値でしか買わない人に、コンビニの定価販売は理解できませんし生協は高いと感じるでしょう。
ヨシケイやタイヘイファミリーセットも信じられないでしょうが、その逆に底値を漁りに自転車で東奔西走する姿を奇異な目で見る人もいます。
底値買いに賭ける労力を時給計算して本当に得しているのかも疑問です。
私の「毒」は価値観の違う世界をみているからなのでしょう。
ヒルトンホテルで開かれるパーティーに招かれることもあれば、客単価800円の居酒屋も知っていますし、製造業と物販では基準が異なります。
作り手は高く売りたく、売り側は安く仕入れたい。
客と店も同じです。
善悪ではなく立場と価値観の違いなのですが、そこを指摘すると毒となります。
誰にでも共通する価値観に「好かれたい」を刺激するからです。
この価値をコンサルタントや士業は大切にします。金になるので。
人は・・・特に経営者は自分に都合が良く、理解できるニュースを好みます。
好かれるために耳障りの良い情報が溢れます。
私は呟きます。
嘘つき♪。
時に呟いているつもりが拡声器を使っていることも。
そして毒と呼ばれます。
何もかもを疑うことはありませんが価値観に焦点を当てるということです。
流行の言葉でコレを「顧客視点」といいます。
ちなみに毒は薄めれば薬となることもあるのですよ。
この塩梅が私の持ち味です。
人を育てることに悩んでいる同世代に最近お会いすることが増えてきました。
もうそういう年代なのです。
楽しくて面倒で重要な育成作業で色んなアプローチがあり、それぞれ能書きを垂れるコンサルタントがおりますが、こと一つだけ避けなければ共通事項があります。
自分を変えてしまうことです。
相手にあわせる必要はありません。
お客さんじゃないのですから。
傲慢は好ましくありませんが自分のままで。
私が学校の授業での「証明」に抗ったのは、基本条件も解法も丸暗記を基本としたからでした。
クロスワードパズルに胸をときめかせていたら、答えは用意されており、それをはめ込むだけで点が取れるということに納得がいかなかったのです。
そして証明は自分の意見を主張するにはリスクが必要だということを教えてくれました。成績の大暴落という結果責任と共に。
三角形の証明問題で鍋や土焼きに相当するのが「角(度)」や「辺」です。
また、内角の総和は180度というお約束は「鍋」といったところでしょうか。
文章表現は相手が知っているお約束と、知らないかも知れないことの組み合わせで成り立ちます。
知らないかもとしたのは、知らないことを知らせるために文章はあり、しかし、読者の知識は書き手の私達にはわからないからです。
朝顔は朝に咲くということをお約束とするのか、知らないかもに分類するのかという作業が必要です。
ネットの住民が集うサービスが赤字という話しは珍しいことではありません。
面白がり、人が集まり、盛り上がっているのに赤字だという記事が日経新聞を飾ります。
盛り上がりも一過性で、新しいもの好きな「ネットの住民」は同じところにいません。
ここで「撤退」や「閉鎖」と見切れば、実態が明かとなるのですが、統合や移転、リニューアルと冠をかぶせて責任逃れをしたりフェードアウトをして「次のブーム」をひたすら待ちます。
実は日本のネット界はブーム以外で伸びたところ、成長している企業は少ないのです。
どんな業界でも「ブレイク」する瞬間はありますが、ブームが去った後も堅実に商売を営み、社会に認知され生活インフラに組み込まれていきます。
サラ金、レンタルビデオ、ゲームセンター、宅配ピザも昔はありませんでした。
ネット系のサービスを提供しているビジネスと、普通のお客さんを相手にしている商売の大きな違いは「濡れ手に粟」を良しとするか否かの価値観の違いかもしれません。