タイトル
天才数学者、株にハマる
数字オンチのための投資の考え方
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三日間あがり続けた株があったとします。
さて、その株が明日もあがる確率は何パーセント?
数式で「株価」がわかるのか?天才数学者のライブドキュメント。
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●どんな方に?
□株式投資は頭の良い人にしかできないと考えている方に
□株式投資を始める準備運動に
□知的ゲームを傍観するのが好きな方に
□頭の良い人が失敗する様を気楽に楽しみたい方に
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本書は株式取引の知識がなくてもそれなりに楽しめますが、
あった方が笑えますし、数式を読み飛ばす心の強さがあれば
更に楽しめます。
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●どんな内容?
アメリカの人気数学者が、株式投資で大失敗。
その体験に基づいて、あらゆる投資理論を実に分かりやすく解説。
とはいえ、本書には今すぐ始める資産運用方法や、今こそ買い!推奨銘柄ベスト10なんてものは何一つ載っていません。
目次より
第 1章:何が市場で「正しい」のか?・・・・・他人の予想を予想
第 2章:投資家の行動は合理的か?・・・・・・恐れと欲がもたらす錯覚
第 3章:テクニカル分析は役に立つか?・・・・トレンド、群衆行動、波動
第 4章:市場はどこまで効率的か?・・・・・・偶然と効率的市場
第 5章:ファンダメンタル分析は役に立つか?・バリュー投資と金利の考え方
第 6章:リスクといかに付き合うか?・・・・・オプション、リスク、ボラティリティ
第 7章:分散投資は有効か?・・・・・・・・・ポートフォリオの組み方
第 8章:株価変動はカオスか?・・・・・・・・ネットワーク、カオス、フラクタル
第 9章:投資理論はパラドックス?・・・・・・市場を超越できない投資家
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●書評
マーケティングプロデュースという職業は売れる商品をもっと売ること、そして売れない商品もそれなりに売れるように仕掛けることが中心となります。
しかも私の場合には中小企業専門にしておりますので、大企業のように湯水の如くお金を使うことはできません。
そこで私は時代の風という力を使うようにしております。
これはてこの原理を想像して貰えれば分かると思うのですが、自分(中小企業)の力は僅かでも大きな効果を得られると言うことです。
時代の風とはトレンドや流行と置き換えても結構でしょう。
つまり、今流行っているものをより売れるようにしたり、あまり売れない物でも今風にして興味を引かせる工夫をするのです。
テレビコマーシャルでヒットしているキャッチコピーや、語呂合わせを頂いちゃうことも時代の風の利用法です。
さて、トレンドを読むといってもそんなにカンタンにはいかないものですが、このトレンドを読める能力が要求されるのが株式取引ともいえます。
もちろん、テクニカル分析やチャート解析などトレンド以外の力も要求されますが、次に来る時代が読めれば億万長者になることもそう難しくないでしょう。
振り返ってみれば実態のなかったITバブルも、これからはITだ!という時代の風を受けてのことだったのです。
時はそんな時代のアメリカ。
デジタル時代のグローバル・コミュニケーション・カンパニーと謳っていた会社がありました。
今や、企業不正の代名詞となったワールドコムです。
売上高250億ドル(1$=115円換算で2兆7500億円)で、顧客数が2500万人のこの企業の株を一株47ドルで筆者は買いました。
若干値は下げていた頃でしたが、最高値の64ドルはスグ越えるだろうと誰もが信じておりました。
彼の悪夢はそこからはじまりました。
株は売らない限り損はでません。
例え時価評価は変わってもその株券が大きくなったり、小さくなったりするわけではありませんし額面は同じです。
つまり、時価評価が下がっても上がるまで持っていれば良いという考え方によるものです。
その一方で損切りという考え方があります。
これは、それ以上損を拡大させない為の方法でとても重要なものです。
しかし、これがなかなか難しいのです。
だって想像してみてください。
何かの間違いで下がってしまった株を売ってしまった時点で、自分のお金がなくなってしまうのです。
100万円分の株を購入してその時点で90万円なら10万円損をしてしまいますが、明日には80万円になるかもしれないので、10万円損をしなくてすみます。これが損切りです。
でも、明日の株価はわかりません。
もしかしたら100万円に戻って損がなくなるかも知れませんし、110万円になって10万円得をするかもしれません。
そこまで都合が良くなくても95万円になって損が5万円ですむかもしれません。
こうしたことを考え出すと損が切れなくなるのです。
さて、本書です。
天才数学者である筆者は損切りができませんでした。
結局、本書には彼が損切りした時の価格は載っておりません。
私が本書に載っている売却時期から調べたところ、なんと1〜2ドルで売却しておりました。
さらに驚くことは彼は株価が5ドルにまで下がった頃、買い増しをしていたというのです。
正常な神経を持ち、健全な判断ができる方にとっては異常な出来事のようですが、株式取引の世界ではそんなにめずらしいことではありません。
筆者はその過程を難しい数式と、例え話とおとぎ話を用いて言い訳を続けます。
本当に必死に。
ネット取引で空前の株式ブームとなっている今だからこそ、本書のような落ちていく過程を知っていることも重要なんだなとしみじみと感じました。
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