ドミナントがセブンイレブン躍進の表の顔とすれば「セブンイレブンの罠(渡辺仁著)」で紹介される内容が裏の顔です。
躍進をささえた裏の顔は「FC(フランチャイズ)」で、実態を「オーナー偽装」と喝破します。
まず、セブンイレブンのFCビジネスの問題点が取り沙汰されない理由について述べておきます。
日本の商業メディアは「スポンサー」の悪口は言わない、書かないという不文律があるのです。つまり、セブンイレブンにとって「いい気分」でない記事は載せません。セブンイレブンが圧力をかけるのではなく、メディア側が「自主規制」するのです。
ちなみに某経済新聞では自動車メーカーや調味料メーカーの悪口も「タブー」とされています。
「セブンイレブンの罠」で描かれる実態は想像を絶します。
さらに普通の商売からみておかしなことは「買い掛けから利息」を獲ることです。商売では仕入れ費用をひと月単位でまとめて決済するのですが一般的で「買い掛け」と呼びます。セブンイレブンはこの買い掛けに利息を付けているというのです。日本の商習慣ではあり得ないことです
売り上げはセブンイレブン本部が毎日集金し、先ほどの商品代金やロイヤリティーなどを差し引いた金額だけがオーナーの手に戻ってきますが、アルバイトの給料や家賃、光熱費などを払えば、オーナーの年収は夫婦二人で500万円ほど。しかもこれでも「良いほうだ」といいます。
年収200~300万円のオーナは多く、貯金が減り借金が増え、ゴミ寸前の廃棄弁当を食べろとセブンイレブン本部から指導されます。しかもその「廃棄弁当」もセブンイレブンの「儲け」として計上されています。
本部が圧倒的に有利な契約がセブンイレブンFCのポイントで大躍進を実現してきたのです。そして各FCオーナーは名前の「オーナー偽装」です。
そしてセブンイレブン躍進の「表の顔」である「ドミナント」も裏の顔と一体です。ひとつのエリアで一定の売り上げを達成すると、競合するエリアに新規出店して「食い合い」をさせるのです。ドミナントにより地域占有率は上がり、セブンイレブン全体の売り上げは高くなりますが、FC各店はそれぞれ減収となるのです。
不公平な条件での取引でも「ビジネス」として契約書にサインをした以上、対等の関係で交わした「約束」となります。これがフランチャイズビジネスの恐ろしいところです。「セブンイレブンの罠」の主旨を著者の渡辺仁先生はこう喝破します。
「ビジネスとして契約した以上、手出しできないという論理も理解している。
しかし、最大の問題は、必要且つ充分な情報提供が契約者なされておらず、同時に情報公開がなされていないことだ」
セブンイレブンのオーナーになる前に「セブンイレブンの罠」をお読みください。