1:伸びる会社は知っている!〜好きでもない客を振り向かせようとする〜
その昔。深夜放送から卒業した私はFM放送ばかりを聞くようになっ
ていました。
ブレイク直前のウルフルズの「ガッツだぜ!」を知ったのはTFMで
したし、マッピーこと松本ともこさんのファンでもありました。
当時AM放送を野暮ったく感じ、ときおり英語が織り込まれ
「友達に語るような」
FMに親近感を感じていたのです。
時は流れて今は殆どAM(文化放送)ばかりを聞いています。
時々、FM放送を聞きますがあの「英語混じり」が鼻につき、無声化
もできていない「素人しゃべり」をするパーソナリティーを腹立た
しく感じるのです。
時代的変化は多少ありますが、多分AMもFMも基本的な路線は変えて
いないのでしょう。
しかし、リスナーである私の意識が変わることにより、受け取り方
が180度変わってしまったということです。
セミナーコンサルタントや大企業の広報担当が語る「顧客のニーズ」
や「お客様の声」を鵜呑みにしてはいけないのも実はここがポイン
トなのです。
それは、どの顧客ニーズを計るかで、結果はまるで違ってきてしま
うからです。私はFMからAMに嗜好が変わりました。しかし、私とい
う人間は変わりません。
それでは「私のニーズ」に合わせて、仮にTFMが「変わって」しまっ
たらどうなるでしょうか?
きっと他のFM局に移動することでしょう。
だってFMはFMを好きな客を相手にしているわけですから、FMでなく
なったFMは聞きませんし、同様にAMはAMを好きな人を相手に番組を
作っているのです。
そして、この「好きな客」を相手にすることこそが一番重要なこと
なので、「好きでもない客を振り向かせようとする」努力をするこ
とが「営業努力」だと思っている方が多くいるのですが、これは多
くの場合は徒労に終わってしまいます。
この話をすると
「それでは新規開拓はどうするんだ!」
と怒りだす方もいるんですが、
「好きになるかも知れない『まだ知らない人』を探す」
のとどちらがカンタンでしょうか?
世の中は「知っている人が思うほど知っている人が少ない」という
こともあるんです。
あくまで便宜的にAMとFMとに分けましたが、実際にはラジオ局や番
組、時間帯によって別れており、それぞれ、ターゲットになるリス
ナーの為だけに番組を作っているのです。
そしてそのリスナーを「仮定」することにより、リスナーに合った
スポンサー集めから番組企画までが繋がっていきます。
つまり、リスナーの存在を先に仮定することによるできる
「営業戦略」なのです。
<つづく>
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